自然なこころで生きる

たわいのない話

ランナー

先週の火曜日は幼馴染が訪ねてきた。

仕事があったが一週間前から楽しみしていたと言うし、仕事は後日頑張ればどうにかなるのでゆっくり話をした。

それに大学のときの借りがある。

 f:id:satoufayukio:20170530175533j:image

彼と出会ったのは9歳だった。

だからこれまでの人生で起きた様々のことを互いに知っている。

大学の頃彼は千葉にいた。

幼馴染は入学してすぐに落研に入った。

大学2年の学園祭に来られた高橋真梨子さんの前で彼女の歌を歌ったらしかった。

審査員席で笑っている彼女と熱唱している彼の写真を見せてもらったことがあった。

なぜ彼女は笑っているのかと尋ねると彼はうろ覚えの歌詞で歌ったそうだ。

あまりにも滅茶苦茶な歌詞に彼女は怒るどころか腹を抱えて笑ったという。

日本で最も上手い歌手の前でよくそんなことができたなと呆れた。

落研に入ってすぐに着物姿の写真を送って来た。

その頃の学生は皆髪が長かった。

大学2年の頃付き合っていた彼女に着物姿の彼の写真を見せたら機嫌が悪くなった。

理由を聞くと幼馴染とはいえこんな可愛い女の子の写真を見せるのは失礼だと言う。

男性であることを伝えるともちろん機嫌が直った。

今は見る影もない腹の出たおっさんになった。

その代わり二人の娘は若い頃の彼に似た美人になった。

 

幼馴染は岩手県出身の女の子と付き合うようになった。

私たちは高校の頃から互いに彼女ができたら紹介し合うことになっていた。

もっとも紹介するのはもっぱら彼の方だった。

しかし、一度も羨ましいとは思わなかった。

卒業前に上京し彼のアパートを訪ねて彼女を紹介してもらった。

今度も同じかなと思っていたら違った。

美人だった。

一般的な色白というとは少し違って本当に肌の色が白かった。

大きな目の女の子だった。

目の色も少し違っていた。

ロシア人の血が入っているという。

彼女を交えて夜遅くまで飲み、彼のアパートに泊めてもらった。

 

翌朝、目覚めると幼馴染がいない。

午前中に実施される試験を受けに大学に行ったので昼にならないと帰らないと既に起きていた彼女が教えてくれた。

昨夜私を歓待した後、幼馴染は朝3時に起床して勉強したらしかった。

試験が翌日に控えているにもかかわらず九州から上京するのを断れなかったのだろう。心から申し訳なく思った。

幼馴染は中学に入った頃から勉強では対等ではなくなったので、彼と勉強の話をしたことはなかった。

彼女から早朝の勉強の話を聞いて感心した。

友人を遅くまで歓待した後に仮眠を取って勉強するなぞ到底自分にはできないと正直に彼女に話した。

それを聞いて彼女はとても喜んだ。

幼馴染は勉強で私にコンプレックスを抱いていたと彼女は話してくれた。

だから、勉強のことで私が褒めたことが嬉しかったと。

 

卒業して彼らは別れた。

別れなければならない理由があったとは思えない。

辛い別れだったのだろう。

仕事の後、夜遅く我が家を訪ねて来て幼馴染は度々泣いていた。

私は彼にかける言葉がなかった。

それは一年間ほど続いた。

 

何年か前、彼女が癌で亡くなったことを知ったと話してくれた。

インターネットで彼女のことを検索して分かったという。


ランナー 髙橋真梨子  1994 LONDON LIVE

 

高橋真梨子さんのコンサートは何度か行った。

CDで聞くより上手いと思った。

悲しくなるほど好きな歌手だ。