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自然なこころで生きる

たわいのない話

人は人によって磨かれるー史上最低の新入職員(その1)

4月1日は入社式が行われ、若者たちは職場に配属される。

そんな若者たちのために。

 

新入職員の私が配属された支社の部署はN主任と私以外は全部女性だった。

研修で支社に配属されると女性社員にモテるという噂を耳にしていたが全くモテなかった。

というのも仕事が全くできなかったからだ。

遅い、汚い、不正確という仕事ぶりでおよそ役に立たなかった。

おまけにしばらく支社でただ一人定時退社していた。

ある日いつものように定時退社していると同じ年に高卒入社したKさんが追いかけてきた。

「もう帰るんですか?みなさん残業してますよ。こうせいさんはなんて呼ばれているか知ってますか?史上最低の新入職員と呼ばれているんですよ。悔しくないんですか?」

そう呼ばれても仕方ない。

「心配してくれてありがとう。」と答えて帰宅した。

 

頭には少しばかり自信があったが、事務仕事は高卒の女性に全く太刀打ちできなった。

細かいハンド処理は苦手だった。

(後年、システム開発のチームで支社の時に担当していた全てのハンド処理をコンピュータ化した。)

 

上司のN主任は毎週一回は飲みに誘って下さった。

そこで延々と「お前は駄目だ。」と説教された。

ここも、そこも、どこも駄目だった。

私には良い点がないらしかった。

ようやく長いダメ出しが終わると、自分の暗い青春時代を語り始めた。

毎度その繰り返しだった。

最初は自分はどうしてこんなに駄目なんだろうと反省していたが、だんだん腹が立ってきた。

そのうち哀れむようになった。

器の小さい人だ、これでは人を使うことができない。

とうとう、飲みに行こうと誘われても彼女とデートがあると言って断るようになった。

 

N主任は当然のことながら部下が効率よく正確な事務処理ができるかどうかに気を配っていた。

またN主任は性格的にも細かいことによく配慮する方だったが、私は細かいことは苦手だったし興味もなかった。

 

 

新入職員は一年目に論文を作成しなければならなかった。

当時担当していたのが企業関係の保険だったので対企業の販売戦略についての論文を作成した。

企業を訪問した際、会社の販売戦略に欠落した部分があることを実感していたので官庁の統計資料を元に欠落を証明し、穴を埋めるための戦略プランを提示した論文だった。

と言っても入社一年目の青二才が作成したものなのでお笑いであっただろうが。

論文提出締切日直前にN主任に初めて見て頂いた。

もちろん、手直ししようにも時間的に無理があったので叱責された。

私はそれが狙いだった。

事務の効率化を論文のテーマにさせたがっていたので早めに見せればテーマを変更されるのは明らかだったからだ。

論文は所管課から高く評価された。(二年後それは形を変えて採用された。)

それでもN主任は論文にダメ出しした。

 

毎日、会社を辞めようと思っていた。