自然なこころで生きる

たわいのない話

動悸では死なない

 喘息が再発したので病院に行く。

前回と同じ吸入剤を処方してもらう。

ただし、あまり効果がなければ別の吸入剤に変更するとのこと。

その薬は効き目は強いのだが動悸が酷くて前回使用を中止してもらった。

この薬を吸入した夜、心臓のあたりが押さえられたようで気持ち悪かった。

古い寺からお年寄りの僧侶が二人出てくる夢を見た。

どうやら葬式の準備をするらしい。

そこで目覚めた。

こりゃいかんと思い使用中止したのだ。

ところが、今回は先生曰く、動悸で死ぬことはないが喘息は死ぬことがあります。

喘息で死ぬのは嫌なので使用するか。

大学を卒業した年、可愛がってくれた二つ歳上の先輩が亡くなった。

変わった方だったが優しくして頂いた。

先輩と親しくして頂くきっかけとなったのが喘息だった。

先輩は小児喘息だった。

日曜の朝、散歩していると先輩に会った。苦しそうにやっと声を出し病院に連れて行ってくれと言われ連れて行った。

インターフォン越しに休診日だからと受診を拒否された。

こんなに苦しんでいる病人を見放すのかと怒って言った。

あまりの剣幕に心配した先輩が声を振り絞って名前を告げた。

かかりつけ医だったのだろう、直ぐにドアが開いた。

病院の外で診察が終わるまで待っていた。

出てきた先輩は少し驚いていた。

その後、先輩の部屋で話しをした。

君はとても苦労したんだろうね、と先輩が言った。 

その言葉で初めて私という人間を理解してもらったように感じた。

それからとても可愛がって頂いた。

ある日、先輩が彼女と別れて落ち込んでいるらしいとサークルの同級生の女性から聞いた。

先輩の好みの料理をその女性に頼んで作ってもらい三人で食べた。先輩が大学を卒業する時、あの時は嬉しかったと言ってくれた。

先輩は検事志望で司法試験合格目前だった。

司法修習地は君の住む街にすると電話で話していた。

それからしばらくして先輩の死を知った。

一人暮らしのアパートで死後3日経って発見された。安らかな顔だったそうだ。

喘息が原因だった。

 

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